拡張現実(AR)でコンテンツエクスペリエンスを進化させる世界のトップブランド

ArchiViz

Pokémon Goのいまだかつてない流行は、これから拡張現実(AR)が主流技術になることを証明しました。そして、それ以来、ユーザーのエクスペリエンスが向上し、アクセスもしやすくなりました。先進的な考えを持つコンテンツマーケティング担当者は、すでにメイクから人道的なキャンペーンに至るまで、あらゆる宣伝にARを使用しています。

オーディエンスの注目を集めるために競い合っている今の世界で、ARは人の心をしっかりと掴んで離すことはありません。一般的なものから一風変わったもの、楽しいものから啓発的なものまで、これらの仮想体験は、人々をワクワクするような新しい方法でエンゲージさせることができるポテンシャルを秘めています。

仮想現実とは異なり、ARはヘッドセットを必要としないため、手軽に採用できます。ARは、デジタルコンテンツを目の前にある現実世界に重ねて、目の前の風景を様変わりさせます。必要なのはスマートフォンと前方を向いているカメラだけです。

テクノロジー企業は、ARエクスペリエンスをよりシームレスで印象的なものにし、広く普及させるために熱心に取り組んできました。Mark Zuckerberg氏は、4月の「F8」開発者カンファレンスで、FacebookがARの取り組みに対する投資額を倍増させ、デベロッパーツールを使ってベータ版AR Studioを立ち上げることを発表しました。その一方で、Appleの新しいiOS 11モバイルオペレーティングシステムには、ARKitが含まれています。これは、ユーザーがiPhoneやiPad用のARエクスペリエンスを簡単に作成できる新しい機能です。

ARは、すべての人にとって有意義なものではないかもしれません。しかし、現在のさまざまな企業は、コンテンツマーケティングミックスにARを追加することで恩恵を受けられる立場にあります。この記事では、世界のトップブランドがARをクリエイティブに取り入れている方法や、その方法をあなたの会社にどう適用できるかを紹介していきます。

Ikea Place

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iOSとARkitの発表と時を同じくして、スウェーデンの大手家具ブランドであるIkeaは、Ikea Placeの立ち上げを発表しました。この新しいアプリは、ユーザーがAppleデバイスでいくつかの部屋をスキャンするだけで、家具を置いたときのイメージを確認できるというものです。同社のカタログを拡張したアプリは、家具の再配置を簡単に行えるだけでなく、最適な表示のために98%のスケール精度を備え、できるだけ簡単にオブジェクトの閲覧と選択ができるようにしています。

顧客は、購入前に気になる家具をバーチャルに配置することで、あれこれと頭を悩ませる前に欲しいアイテムが自分の部屋に合うかどうかを確認することができます。しかもこの無料アプリは、買い物客のためだけに作られたわけではなく、誰もがアプリで楽しむことができるようになっています。部屋全体、あるいは街路をIkeaの製品で埋め尽くすことができるなど、思う存分に模様替えを楽しむことができます。また、ソーシャルで自分のインテリアデザインの画像や動画をシェアすることもできます。ユーザーが購入の意思を固めると、Ikeaは、近くにあるIkeaのウェブサイトを通じてダイレクトコンバージョンを見込むことができます。

重要なポイント: 同社は、Ikea Placeで人々が家具を購入する方法を将来的に変えることを目指しています。「拡張現実と仮想現実は、インターネットと同じように、小売業界に全体的な大変革をもたらすでしょう」とInter IKEA Systemsのデジタルトランスフォーメーション部門リーダーであるMichael Valdsgaard氏は言います。「今回のアプリで、変革のスピードはさらに早まるでしょう」。ホームウェアからファッション、アクセサリーまで、あらゆる種類の製品をバーチャルに表現できる範囲を想像してください。あなたのブランドはARをどのように活用することができるでしょうか? エクスペリエンスを活性化し、ユーザーに購入を促すために頼るのはモバイルだけですか?

Pepsi Max – Unbelievable

 

これは数年前に有名になったスタントです。Pepsi Maxは、地元の通勤風景にARエクスペリエンスを用いて、ささやかないたずらをロンドンのバス停に仕掛けました。カメラに接続した6枚のスクリーンが、前方にある街路のライブフィードをキャプチャして表示し、ARで心臓が止まりそうなほど衝撃的なシナリオを映し出しました。宇宙人の誘拐から逃れる人、野生のトラから逃げる人…など、通行人はPepsiのいたずらにびっくりし、タネを知って喜びました。

Unbelievable #LiveForNowキャンペーンの一環として、この動画は一気に拡散され、YouTubeで約800万回近くの再生回数を、キャンペーン動画全体で5,000万回以上の再生回数を記録しました。このキャンペーンによって、500mlペットボトルの売上が30%増加し、Pepsi Maxはイギリスで2番目に登録者数の多いブランドチャネルとなったそうです。これは、ARを使って生み出されたスリリングで記憶に残るインパクトのおかげです。

重要なポイント: これはオーディエンスを一人ひとりエンゲージさせるのではなく、オーディエンスにARを届ける事例です。Pepsi MaxのAR実験は、「オーディエンスは友人とシェアできるユニークなエクスペリエンスやストーリーを求めているというインサイトから生み出された」とMarketing Weekは指摘します。結果として得られた動画は、Facebook、Twitter、YouTubeにおいて、87%以上のビュー・スルー・レート、120,000件のメンション、いいね、シェアを獲得しました。既存の枠にとらわれずに考えてみましょう。あなたのブランドにおいて、拡散されそうな瞬間はどのようなものでしょうか?

Sephora Innovation Lab

 

Sephoraは、社内イノベーションラボを構築してブランドのデジタルブレイクスルーを発見しました。ARプラットフォームのModifaceと協力して、ユーザーの顔をスキャンし、目や鼻がどのように配置されているかを高精度に判断するVirtual Artistという機能を開発しました。スキャンが終わると、メイク好きのユーザーは、すぐにでもリップスティック、アイシャドウ、つけまつげなどを試すことができます。

チュートリアルツールは、ユーザーの肌の色合いや顔の形を反映するAR搭載ビデオの力を借りて、コスメカウンターでのアドバイスやイメージチェンジのように、昼と夜のメイクを変えるハウツーなどを紹介しています。各ステップを説明すると、製品が適用され、便いやすい「カートに追加」ボタンがアイテムごとに表示されます。Sephora Virtual Artistは、(ファンに好評な)ブランドの既存アプリに搭載されています。また、ソーシャル上で友人と写真をシェアすることができるため、ユーザーは購入前にセカンドオピニオンを聞くことができるのです。

重要なポイント: 他の美容ブランドも製品をより身近なものにするために、オーディエンスを巻き込めるARに目を向けています。ただし、次のことを覚えておいてください。「拡張現実も仮想現実も、成功するのは本当の意味で有用なものだけです」。これは、Sephora Innovation LabのVPであるBridget Dolan氏の言葉です。ARの試行を検討しているならば、本当に価値のあるものを作ることに情熱を傾け、投資できる準備が整っているかどうかを確認してください。

デトロイト美術館(DIA) – Lumin

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今年の初めに、デトロイト美術館は、Googleの拡張現実プラットフォームであるTangoと提携して、Luminと呼ばれる革新的なAR搭載モバイルエクスペリエンスを創り出しました。今までに類を見ないこのハイテクツアーは、美術館の受付で配布されるスマートフォンで作動します。このスマートフォンは、特定の工芸品や芸術作品の背後にあるデジタル情報を示すように設定されています。

ミイラのX線のイメージもバビロンの城門をくぐり抜ける瞬間も、この体験的・教育的・魅力的なポテンシャルは、まさに驚きに他なりません。Luminは、実用レベルにおいても、美術館のナビゲートをサポートし、聴覚障がい者や視覚障がい者にとっても有用な働きをします。どのように使用されても、紛れもなく充実したエクスペリエンスをもたらし、その能力は氷山の一角を示すに過ぎません。

重要なポイント: 「拡大現実によって、ユーザーは目に見えないものを見て、アートを当時の背景で想像し、その作品が人々の日常生活でどのように使用されたり体験されたりしていたのかを理解することができます」とDIAディレクターであるSalvador Salort-Pons氏は語ります。「最新技術を訪問者のエクスペリエンスに取り入れることは、非常にエキサイティングな方法です」。この方法をあなたの会社やブランドに落とし込むにはどうすれば良いでしょうか? オーディエンスと一緒に探求したり分かち合ったりできる、舞台裏のストーリーを持っていますか?

国際連合 – Not a Target

 

今年の夏、国際連合は、成功を収めた一連のVR映画の後世界人道デーキャンペーンに向けてFacebookのCamera Effects Studioに目を向けました。Facebook Liveをバーチャルテレプロンプターとして使用し、10枚の白黒フィルターを採用することによって、ユーザーは人権侵害を受けた被害者の実話を読み上げつつ、世界中の労働者を援助することができるキャンペーンです。ユーザーとその視聴者の心に強く訴えかけるこのエクスペリエンスは、紛争に巻き込まれた一般市民への意識を高めることを目的としていました。

これは、ミレニアル世代を教育して行動を促すことを目的とした、大規模な#Not A Targetキャンペーンの一環です。この取り組みは、WorldHumanitarianDay.orgの請願書に署名するよう人々を促し、197の国々から2万5,000以上の署名を集めました。Michael DouglasやCharlize Theronといった有名人自身が動画を撮り、ユーザーが作成したクリップがタイムズスクエアにディスプレイされたおかげで、ソーシャルメディアでも大きな反響を呼びました。

重要なポイント: 既存のツールを思いもよらない方法で使用することを決して過小評価してはいけません。デジタルエクスペリエンスを通じて、語られざるストーリーを伝えることに挑戦したキャンペーン仕掛人のVML New Yorkは、プラットフォームの新しいポテンシャルを見出しました。「これらのフィルターはとても楽しく遊び心に溢れたものでしたが、私たちはこれを市民ジャーナリズムのプラットフォームとみなしたのです」とクリエイティブテクノロジー担当マネージングディレクターであるCraig Elimeliah氏は述べています。チームは、「逆転の発想で、誰もが遊びで使っているものを意味のあるものとして使用することができる」ことを認識したのです。

 

Anastasia DyakovskayaはNewsCredの寄稿者です。

 

元記事「How Augmented Reality (AR) Is Shaping Content Marketing Experiences」は2017年10月9日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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