コンテンツマーケティングのパーソナライゼーション: 4ブランドから学ぶ必勝メソッド

Hinterhaus Productions

マスマーケティングは過去のものになりつつあります。

今日、カスタマイズされた製品やブランドは、より優れたものへと進化しています。ここ数年「パーソナライゼーション」という言葉がコンテンツマーケティング業界で流行語となっていますが、どれほどの企業がその潜在力を最大限に発揮しているのでしょうか?

多くのブランドが技術的な道を歩んできました。彼らは、ボット、人工知能(AI)、高度なアルゴリズムを使用してユーザーデータを活用し、より小規模な集団を対象に関連性の高い有意義なメッセージを送っています。

他のブランドは、人と人とが触れ合う力に期待を寄せています。それは、お互いの目を見つめ合うことよりもスクリーンを見つめる時間の方が長い世界では、人間味は替えがきかないものだからです。

データやテクノロジー、オートメーションに頼ろうとも、より実践的かつ人間的なアプローチに頼ろうとも、パーソナライゼーションの正しい利用方法などありません。その取り組み方は、会社とそのユーザーベース、財力、ミッション、利益に左右されます。オーディエンスのニーズと需要を最優先にして実施すると、パーソナライゼーションは驚異的な結果につながるでしょう。

人々も、今まで以上にパーソナライゼーションを熱望していますから。

2017年度のAccentureの調査によると、消費者の81%が、ブランドに自分たちのことを知ってもらい、いつアプローチすべきか、またはしないべきかを理解してほしいと回答しています。ほかにも、ROIへの関心が高い人に向けた調査結果があります。テクノロジー市場調査大手のGartnerは、昨年「2020年までに顧客の意図を認識するために使用されるスマートパーソナライゼーションエンジンによって、デジタルビジネスは最大15%も利益を向上させることができる」と予測しました。

この記事では、ロボットやテクノロジー、または人の手(あるいはその両方)かを問わず、すべてを完璧にこなしたブランドをいくつか紹介します。

 

L’Oreal


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パーソナライゼーション戦術: 全面的なデジタルイノベーションと実験

仕組み: L’Orealの多くの美容ブランドは、最新テクノロジーを活用して、パーソナライズの要素をマーケティング活動や製品提供に加えています。

「現在の消費者は、モバイルのおかげで個人的なスタイリスト、美容師、メイクアップアーティストを24時間365日指先ひとつで手配できます」とL’Oreal USAのCMOであるMarie Gulin-Merle氏はThink with Googleに語りました。「私たちは、顧客が私たちを必要としているときにいつでもお役に立てるように、カスタマイズされた製品以上のものを提供しなければなりません。さらにパーソナライズされたデジタルエクスペリエンスも必要です」。

2017年、L’Orealが所有する高級ラインKérastaseは、世界で初めてスマートヘアブラシを発売しました。このブラシは、ユーザーの髪質を評価し、さまざまな製品や使い方による髪への影響を監視するシグナル分析アルゴリズムを備えています。また、髪質や状態を測定するセンサーとマイクも搭載されています。

 

 

付属のアプリは、追加情報、ヒント、カスタマイズされた製品の推奨事項を提供し、ユーザーが過去最高の髪型や外見になれるよう努めています。ユーザーデータがWi-FiやBluetooth経由でアプリに自動的に送信されると、天気などの髪に影響を与えそうな要因と組み合わせて、髪の健康や必要なことを網羅的に教えてくれます。このデジタルパイオニアは、各ブラシで収集したデータを利用して、今後は拡張現実(AR)のような分野でマーケティング活動とイノベーションをさらにパーソナライズすることを考えています。

人間主導かテクノロジー主導か: 完全にテクノロジー主導です。L’Orealは、最も収益性の高い世界最大の美容企業のひとつとして未来に投資するための地位を築きました。未来とはテクノロジーのことです。

結果:ヘアブラシが購入できるのは2017年秋ですが、L’Orealはパーソナライゼーションに対して、他の取り組みと同等の成功を収めることを期待しています。同社は昨年My UV Patchをリリースしたことで、ユーザーの60%が日焼け量を減らし、35%が日焼け止めを多く使用するようになったことを発見しました。また2,000万人以上の人々がL’OrealのMakeup Geniusアプリを使って、ARを介したメイクやネイルのフィッティングを行っています。

「Makeup GeniusとMy UV Patchはどちらも変革的なテクノロジーになりそうです」とL’OrealのResearch and Innovation IncubatorのグローバルVPであるGuive Balooch氏はAd Ageに語りました。「私たちは、ブラシが3番目のテクノロジーになることを願っています」。

 

Spotify

パーソナライゼーション戦術: 毎日、各ユーザーが絶対に気に入る音楽のプレイリストを作成すること

仕組み: Spotifyはユーザーに完璧なプレイリストを提供するために、今もなお追求し続けています。同社は、ユーザーの聴取履歴を分析してまだ聴いていない曲をパーソナライズしたDiscover Weeklyプレイリストを提供しています。Spotifyは、ユーザーが作成した20億個(その数は今も増え続けています)のプレイリストのデータを引用して、リストを構築しています。さまざまな登録者が習慣的に聴いている音楽の類似点を引き出して比較するアルゴリズムで、類似のプレイリストに入っているもののユーザーがまだ聴いていない曲を提案しています。

さらに、Spotifyは、Release Radarと呼ばれるパーソナライズされた週次プレイリスト(各ユーザーがすでに聴いているアーティストの最新曲を含んだ2時間のプレイリスト)や、よく聴く曲と登録者の嗜好に合うオススメ曲を加えたDaily Mixをユーザーに提供しています。

人間主導かテクノロジー主導か: すべての方法がテクノロジー主導です。Spotifyのテクノロジーは、ユーザー、プレイリスト、曲のパターン、人間の行動を認識して計画するように動いています。ユーザーが曲を追加したり、削除したり、気に入らない曲をスキップしたり、リピート再生したり、「プライベートモード」で再生するたびに、Spotifyのシステムが注意を向け、リスニング体験を最適化するために取り組んでいます。

 

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バレンタインデーなのに4時間ぶっ通しでAdeleを聴いていたヴェニスのそこのあなた、大丈夫?

親愛なるSpotifyより

 

結果: ユーザーは、自分が聴きたい曲を正確に予測してくれるだけでなく、望んでいることを自覚すらしていない曲さえも予測するSpotifyの能力に何度も驚かされました。同社は今年、5,000万人の有料登録者を獲得しました。これは、大成功を収めたデータドリブンキャンペーン「Thanks 2016, it’s been weird.(ありがとう2016年、変な年だったね)」の直後に発表されました。

クリエイティブな屋外広告シリーズには、場所によってパーソナライズされた実際のユーザーの統計情報が掲載されています。「バレンタインデーなのに4時間ぶっ通しでAdeleを聴いていたカリフォルニア州に住むヴェニスの人」「一年で最も暑い日に『Cold Water』を6回も再生したサウスウィリアムズバーグの住人」などです。これは、非常に有効なパーソナライゼーションの素晴らしい例です。

#ThinkContent 2017でSpotifyのCMOであるSeth Farbman氏は「単に大量のデータを取り込んでいるだけだと、すぐに圧倒されてしまうでしょう」と述べました。「データがあなたのオーディエンスについて伝えることを本当の意味で把握するためには、実際に『聴かないと』いけません」。

 

Rocksbox

 

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パーソナライゼーション戦術:: オムニチャネルのハイパーパーソナライゼーション

仕組み: 「私たちが顧客にお勧めしているすべてのアイテム、お届けするすべての作品は、各顧客のために特別に選んだものです」とRocksboxの事業運営担当VPであるChanel Li氏は言います。Rocksboxは、成長を続けているジュエリーの月額レンタルサービスです。

チームは、個人の統計情報からスタイル調査を通じた嗜好に至るまで、できるだけ多くの情報を収集することから始めます。この方法で、Rocksboxのスタイリストは、ユーザーのリングサイズや、サービスを試そうと思った理由、そして主張の激しいジュエリーと繊細なジュエリーのどちらを好むのかといった基本情報を学んでいるのです。

 

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その後、ユーザーは数百作品ものウィッシュリストを閲覧し、お気に入りをマークするよう求められます。

「私たちは情報をたくさん咀嚼することによって、相関関係を確認し、次回そのユーザーに届ける作品を決めることができるのです」とLi氏は言います。「ボックスのキュレーションには、当社のスタイリストが各顧客のために収集したすべてのデータポイントに目を通し、人の手で選ぶことをプロセスに加えています」。

Rocksboxは、初期のデータダンプを経て、ユーザーが他の場所へ移動したり詳細情報を引き渡したりすることなく最高の体験を提供するよう努めています。

「私たちがやろうとしていることは、顧客がほとんどの時間を費やしている場所に現れること。現在、その場所はInstagramです」と彼女は述べました。

 

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「早い段階で、私たちの顧客がInstagramで『この作品、本当に好き!』という前向きなフィードバックを残していることがわかりました。そこで考えたのが、その作品が何らかの形で魔法のようにその顧客の目の前に現れたら素晴らしいのではないかということ」。

「この考察にもとづき、Instagramのフィードをスクロールしながら、お気に入りに#wishlistのハッシュタグを付ける機能をリリースしました」と彼女は続けます。「そうすれば、私たちのシステムにその顧客の要求を追加することができますし、その作品を顧客の郵便受けに届けることができます」。

 

We can’t get enough of the Kate Spade summer collection! #Wishlist these cute Cactus Studs now!


A post shared by Rocksbox (@rocksbox) on Jun 13, 2017 at 7:30pm PDT

2017年6月13日午後7時30分(PDT)にRocksbox(@rocksbox)がシェアした投稿

 

人間主導かテクノロジー主導か: 両方です。「データやテクノロジーにもとづいて顧客を理解することも重要ですが、そこに人間の触れ合いを加えることも大切だと信じています」とLi氏は述べます。「どんなコンピュータアルゴリズムよりも、非常に貴重で、かけがえのないものだからです」。

結果: 同社が#wishlistのアイデアを初めて発表したとき、RocksboxのInstagramオーディエンスは5,000人未満でした。その後、10万人以上のフォロワーだけでなく、2016年には870万ドルの資金調達を獲得。パーソナライゼーションの成功に向かって着々と前進しています。

 

The Infatuation


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パーソナライゼーション戦術: Text Rex」人から人への直接的なメッセージングサービス

仕組み: レストランのレビューやお勧めで知られているInfatuationは、ユーザーが探しているものだけを見つけることができる新しいサービスを立ち上げました。まだベータ版で、現在はニューヨーク市でしか利用できませんが、Text Rexメッセージングサービスは、テキストメッセージを介してオンデマンドのレストランコンシェルジュサービスのように機能するサービスです。UberやLyftのドライバーと違い、約30人の人が雇われています。彼らはシフトごとに報酬を受け取り、レストランのお勧めに対する人々の要望にリアルタイムで回答。テキストは止まることを知りません。

「私たちは現在、非常に多くのデータを網羅しています。なぜなら、ユーザーは常に何を望んでいるのか、いつ望んでいるのか、誰と一緒なのか、何に興味を持っているのかといった情報を私たちにぶつけてくれるからです」とInfatuationの最高売上責任者 兼 共同創設者であるAndrew Steinthal氏は語っています。「これらの情報は、コンテンツ制作にも役立ちました。私たちは、Text Rexで特定のトレンドを確認して、アイデアや戦略に利用しています」。

たとえば、週末のブランチ予約に関するお問い合わせが数多くあったため、彼らはブランチ予約を取っているレストランの記事を執筆しました。このコンテンツは当たり前のように成功を収めました。

「少人数の友人と肩を並べてワイワイできる、超キュートでリーズナブルなレストラン」のガイドは、あなたの推測どおり、実際に受けた質問やInfatuationのユーザーベースとの会話から直接採用されたタイトルです。

人間主導かテクノロジー主導か: 空腹のユーザーに対応するために24時間体制で働いている実在の人がいるので、間違いなく人間主導です。さらに「ボットの流行りは早くも終わってしまいました」とSteinthal氏は言います。「誰もコンピュータとは話したくないですからね」。

結果: サービスの立ち上げ時に約4,000人のユーザー(その多くがウェイティングリストに登録しています)からの関心を集めるだけでなく、Infatuationは累積し続ける夢のようなデータを持っています。

「私たちは、コンテンツのアイデアを大量に試してうまくいくかどうかを見極めるのではなく、Text Rexのトレンドに従うだけで、吟味されたコンテンツアイデアの驚くべきデータベースを獲得することができました」とSteinthal氏は述べました。

「これらのデータは非常に強力なツールであり、私たちはそのデータがもたらすものをほんの少しかじるだけです。すべてに人間味があり、人と話しているという事実が特別な体験を提供しています」。

 

Anastasia DyakovskayaはNewsCredの寄稿者です。

 

元記事「Content Marketing Personalization: 4 Brands’ Winning Tactics」は2017年6月27日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのAnastasia Dyakovskayaが執筆し、NewsCredパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。

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