Search

ストラテジー

行動を促す物語をいかに伝えるか: ドキュメンタリー映画制作者からのヒント

Cheryl Miller Houser氏は、常に人々とその背景にある物語に惹きつけられてきました。

「これまでの人生、いつも人々と彼らの心を動かしたものに魅了されてきました」と彼女は言います。「私は共感する心を持ち、他の人々の視点から世界を見るようにしています。人への好奇心が非常に強いのです」。

そして、Houser氏のその探究心旺盛な性格は、自然と彼女を映画制作の道へと向かわせました。ブラウン大学の学生時代に制作した処女作の長編ドキュメンタリー『Children of Darkness』は、アカデミー賞にノミネートされました。それから数年間、彼女はDavid O. Russell氏が初めて制作した映画『Spanking the Monkey』のほか、Discovery Healthの『Dr. G: Medical Examiner』やAプラスEの『伝記』シリーズを含む多数のテレビ番組の制作に携わります。

Houser氏は2013年、各プラットフォームを横断して物語制作を行うクリエーティブ・エージェンシー「Creative Breed」を創設。Creative Breedでは、FOOD & WINEの「Mad Genius Tips」の広告キャンペーンや、Chicoの「Style My Way」動画キャンペーン、長編ドキュメンタリー『GENERATION STARTUP』のようなウェブ・シリーズの制作と監督をしてきました。

Houser氏の制作期間やチャンネルはいくつかにまたがりますが、各作品に共通する要素は「共感」です。広告であろうと、デジタル媒体の短編や長編映画であろうと、Houser氏の掲げるテーマと物語は、観る者との間に感情的なつながりを築き上げています。

Houser氏は最近、制作のコツをNewsCredに明かしました。人々を行動に促す魅力的な物語を作るには何をすべきか、彼女の助言は次の通りです。

Cheryl Miller Houser.jpeg

Cheryl Miller Houser(ドキュメンタリー映画制作者、Creative Breed創設者・CEO)

 

視聴者との間に感情的な絆を構築する方法

「視聴者との絆は、共感から始まります」とHouser氏は言います。ブランドは共感という感情を通して顧客と共鳴し、彼らと感情的なつながりを刺激するテーマ周辺の会話や意識を促すことができるのです。

それは多くの場合、ある問題に対する明確な立場の表明を意味します。

「ブランドは性根がすわっていなければなりません。ブランドは恐れてはならないのです」とHouser氏は続けます。「最も魅力的なコンテンツを制作する人は、立場を明確にしたうえで価値を定義し、その価値にこだわりを持つ人です」。

それは、政治的であるべきだということを意味するのではありません。「しかしながら、あなたのブランドの価値観を反映し、それが本物であることを感じさせ、あなたの顧客が誰なのかを包含するテーマを特定する必要があります」。

たとえ悲しみや怒り、痛みという感情があっても、偽りなく共感することができ、かつ心の琴線に触れられるものが最も力を与えるコンテンツです。しかし、Houser氏は、潜在的にせよ顕在的にせよ、結果として行動に促すきっかけとなり、さらには視聴者が行動を促されていると感じるようなエンディングがベストであると感じています。

Houser氏のドキュメンタリー、『GENERATION STARTUP』がわかりやすい例です。このドキュメンタリーは、成功を夢見て自分たちで会社を立ち上げた、デトロイトの若い起業家たちの奮闘に追ったもの。この映画は非常に率直です。起業家たちの闘いを描くこの作品は、1日20時間も働く彼らが破産の憂き目に遭ったり、製品に不具合が発生したり、部屋の中にいる唯一の女性が疎外感を感じたりします。それでも、こうした偽りがなく、共感を得られる困難が、視聴者を強く惹きつけました。この映画は前向きな雰囲気の中エンディングを迎えるので、視聴者は自分たちの情熱に従って懸命に働き、どんな問題も乗り越えられるという思いに駆られるのです。

 

 

「人それぞれ。彼らは希望や夢、あるいは脆弱さを持っています。そしてみんな、悲しみと喜びを体験するのです」とHouser氏は語ります。効果的なストーリーテリングのカギとなるのは、人が体験するすべての領域を捉え、それをブランドのプリズムを通しながら、まとまりのある物語として表現することです。

「60分や90分、1分、2分の作品であっても、大事なことはストーリーをどう組み立てるかです」と、Houser氏はさらに続けます。「あなたのフレームワークを切り開き、物語として組み立てつつ、筋道を失わないようにしなければなりません」。

Alwaysは、#LikeAGirlキャンペーンを通じてこれらを実証するブランドです。

「私たちの多くが、無意識に女の子や自分の姉妹、娘をも社会化して、彼女たちの自尊心を傷つけているという事実は、決して気持ち良いものではなく、痛みを伴う真実を明らかにします」とHouser氏は言います。「しかし、最終的には前向きな結果を生みます。なぜなら『女の子らしさ』という言葉の感じ方を変え、女性たちに誇りを持つよう促すからです」。

 

 

あなたのクリエイティブな努力も、誰かにとっては意味をなさない場合があります。誰かの抵抗に遭ったり、否定的なコメントをもらったり、また誰かを失うことにもなるでしょう。しかし、そうした人たちは、あなたがリーチさせたい相手ではないはず。反対に、コアな視聴者とはより強力な関係性を築くことになるのです。

 

価値、問題、情報を面白く、かつ魅了的に伝える方法

物語を語ることは、共鳴という方法であなたのメッセージを視聴者に伝える“カギ”となります。

Houser氏はドキュメンタリー映画の制作者として、どんな複雑なテーマも多数の視聴者がアクセスしやすく楽しめるようにと精力を注いできました。

「研究者は、脳のネットワークがどうなっているのか、人々が情報をどのように学んでいるかについて多くの研究を行ってきました」と、Houser氏はさらに話します。「物語を通して伝えることができれば、人々は直接的な方法で提示されるよりも、はるかに多くの情報を会得することができるのです」。

ストーリーテリングが有効な最大の理由がひとつあります。それは、人間味のある物語によって、人々が持つ課題やブランドに感情的に惹きつけられるようになるということです。

「私は最近、ロサンゼルスで新しいドキュメンタリーを制作しました」とHouser氏。「そのテーマは、テクノロジーの多様性、女性の権利拡大、そして中南米の貧困連鎖を解消すること。これらはいま、大きな問題になっています。こんなふうに言ってしまうと、今回の映画は少し退屈なように思えるかもしれません。でも、貧しい家庭に生まれ育ち、教育もほとんど受けられず、ときには家庭内暴力を受けていたペルーの若い女性が、わずか6カ月で有能なプログラマーになって中南米全体でも高収入な技術職に就いたストーリーだと言ったら、どうでしょうか。この物語の本質は、彼女たちが持つ立ち上がる力と、助力を得たときに何かを成し遂げられるという潜在能力について語っているのです」。

Houser氏は作品のトーンも重要だと言います。説教がましくなく、共感を得るように努め、可能であればユーモアを足すこと。加えて、言葉であろうが画像であろうが、多くのものを見せれば見せるほど良い。さらに、もしそこに選択肢があるなら、ビジュアル・ストーリーテリングを検討すべきです。

ビジュアル・ストーリーテリングは、とりわけ魅力があります」とHouser氏は言います。「その映画は、うまくいけば最も直感的なものになります。なぜなら、人々を実際に感覚の世界へと誘い込こみ、そこで人々は見て、音を聴いて、他者と触れ合うことができるからです」。

 

人々を行動へと促すためにコンテンツを活用する方法

「コンテンツマーケターとブランドにとって、行動のきっかけになるものが、製品の購入や販売の促進ということはよくあること。それは大いに理解できます」とHouser氏は続けます。「しかし、ブランドは良い行いをしながら、同時に“うまく”行くこともできるのです」。

明確な価値観を持っている企業は、往々にしてブランド力と売上げを増進させています。「顧客は、そうしたブランドを自分たちと同列視し、支持したいと思っています」。

パタゴニアは長年、自社ブログとソーシャルメディアを活用して環境問題への提唱を行ってきました。その例として、最近では、2つの国定記念物への助成を削減するというトランプ大統領の計画に向けて発言をした後、売上げを伸ばしています

 

“We’ve fought to protect these places since we were founded and now we’ll continue that fight in the courts.” —Rose Marcario, President and CEO, @patagonia

A post shared by Patagonia (@patagonia) on Dec 4, 2017 at 3:54pm PST

「私たちは創立以来、こうした場所を守るために戦ってきた。これからもその戦いを法廷で続ける」―パタゴニアのローズ・マルカリオ社長兼CEO

 

「人々は、売られているモノにはなりたくありません。彼らは、社会の向上、経験、関係性、共感を売り込んでほしいのです」とHouser氏は語ります。「前向きな変化を育む人々を感動させる物語を伝えることによって、自分のブランドや世界に良い結果をもたらすことができるのです」。

 

元記事「How to Tell Stories that Drive Action: Tips from a Documentary Filmmaker」は2018年3月6日にInsights.newscred.comに掲載されました。

 

この記事はNewsCred BlogのHeather Engが執筆し、NewsCredのパブリッシャーネットワークを通してライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@newscred.comまでお願いいたします。

 

また、日本におけるNewsCredパブリッシャーネットワークに関してはNewsCred by amanaまでお問い合わせください。