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検索で流入の9割を獲得する「Money Forward Bizpedia」のコンテンツとアットホームなチームづくりとは

株式会社マネーフォワードが運営する「Money Forward Bizpedia」は、会計や確定申告、人事労務といったバックオフィス業務の効率化をサポートする情報が、税理士や公認会計士などのプロフェッショナルの監修のもと、分かりやすく網羅されているオウンドメディアです。運営するのはSEO担当の河合貴美(かわい・たかみ)さん、マーケティングエンジニアの阪口智彦(さかぐち・ともひこ)さん、編集者の久住梨子(くすみ・りこ)さんの3名。月平均100万PVを誇るBizpediaのコンテンツづくりやマーケティング施策について、河合さんと阪口さんのおふたりにお訊きしました。

 

Bizpediaを立ち上げた背景と目的

河合貴美さん(以下、河合):マネーフォワードがコンテンツマーケティングを始めたのは2014年。背景はとにかくMoney Forwardクラウドのドメイン「biz.moneyforward.com」を強くして、SEOを上げようというものでした。サブドメインを切らず「/blog」の配下で記事を作っているのはそのためです。サービスサイトの下にいっぱい子どもたちを載せているみたいな世界観を作りたかったんです。

 

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SMB本部 マーケティング部の河合貴美さん

 

その後ビジネスの拡大とともにコンテンツ資産も貯まり、現在では別の配下「/basic」内でより獲得に近いサービスごとの基礎知識の記事も制作。この流れの中でBizpediaは、軸足をサービスページへの送客に置きつつ、「マネーフォワードを好きになってもらう」ためのブランディングに少しずつ舵を切っていると言います。

 

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2019年7月に名称をそれまでの「BIZ KARTE」から変更し、Money Forwardクラウドの認知獲得をより強化した

 

阪口智彦さん(以下、阪口):Bizpediaの目的は、マネーフォワード社のバックオフィス向け業務効率化サービス「Money Forward クラウド」のサービスページへの送客とブランディングです。そのためKPIは、まず集客を測るPVとUU。加えて各サービスページへの送客を測るため、バナーのCTRや資料請求などのコンバージョンレートを見ています。

 

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SMB本部 マーケティング部の阪口さん

 

阪口:Bizpediaチームは、いい意味で役割分担ができています。お互いがそれぞれの分野でプロフェッショナルという立場なので変な衝突はないし、信頼関係がありますね。

 

河合:そうなんです。私はウェブサイトのSEO担当をメインにやってきたため、編集者のように記事に対してアンテナを高く張るのはあまり得意じゃなくて。それにネットの住民というよりかは、どちらかというとスポーツウーマンです(笑)。そんなとき、Wantedlyで編集者を募集したら久住さんが来てくれて、とてもテンポがあったのですぐに採用となりました。同じタイミングで、阪口さんがマーケエンジニアをしたいと言って来てくれて、久住さんと阪口さんがジョインしてくれたんです。

 

SEOは「まごころ」が大事

3人の強みが活かされた少数精鋭のBizpediaチームでは、実際どのようにコンテンツづくりを行っているのでしょうか。

 

河合:Bizpediaでは月平均100万PVのうち、流入の約9割を自然検索が占めています。それは、2014年当初からコツコツと作り続けてきた1,000記事ほどのコンテンツがあるからです。当初は量産型で、たとえば「フリーランスが夜に仕事できるカフェ10選」のような記事を作っていました。ただ、それらはusefulだけど、funでもinterestingでもないものが多かったんです。実際、ユーザー満足度と検索順位が関係していて、その指標としてクローラーは滞在時間やインプレッションも参考にされていると思います。だからコンテンツに独自性があって面白くないと順位は上がりません。

 

例として、河合さんは『「4月5月6月の給料で税金が決まる」は間違い!社会保険料と標準報酬月額を正しく理解』という記事を挙げました。

 

河合:この記事は、もともと社内にいた社労士の方に書いてもらった記事です。社労士の方の言葉で書いてあり、とてもわかりやすくて。普段、ここまで長いタイトルは付けないようにしているのですが…欲張ったわけではなく自然と長くなり、その結果ロングテールのキーワードでの流入も多くとれ、ユーザーのニーズを満たすことができていると感じています。

 

河合:いまはSEOに関して「このキーワードをあと10回入れてください」とか、「タイトルを絶対にこうしましょう」などはあまり言っていません。ロングテールのワードを狙って、ユーザーが困っている課題に対して「はい」と記事を渡せる状況を作るだけでいいんです。クローラーはますます人間らしく判断するようになってきたので、ユーザーに言葉が伝わるかを重視し、「まごころ」を込めて作ることがもっとも重要だと思います。

 

「Money Forward Bizpedia」を運営する3名。ミーティングの風景。右手前が、SMB本部 マーケティング部 編集者の久住さん

 

Bizpediaでは検索流入が期待できる知識系のコンテンツをベースとしつつ、たとえばフリーランスのメンタル管理といった記事や、元国税庁の芸人・さんきゅう倉田さんの「はじめての営業」といった記事など、「楽しんでもらえる」コンテンツを制作しています。

 

これらを制作する役割を担うのが、新聞系メディアで編集者のキャリアを積んだのち、Bizpediaチームにジョインした久住さんです。

 

河合:久住さんは本当にひとつひとつ、まごころを込めてコンテンツを作っています。『【実録】初めての確定申告もこれで大丈夫! e-Taxの申告手順と訂正方法』という記事は、実際に久住さんが自分の体を張って確定申告して、税理士さんの細かいサポートを受けながら書き上げていました」

 

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親しみやすい口調でユーザーに寄り添うコンテンツになっている

 

河合:確定申告というテーマは、難しい言葉で書かれてもわからないじゃないですか? そうではなく、実際にどうしたらいいかというところがわかって、ユーザーがその後アクションできるような記事が必要です。こういう手作り感がBizpediaらしくて意義があると思いますね。

 

マーケエンジニアがサイト改善を行う

河合さんと久住さんでコンテンツ制作を行いつつ、Bizpediaのマーケティングやサービスへの送客を設計し、サイト改善のための機能実装を行うのがマーケエンジニアの阪口さんの役割です。

 

阪口:私は編集会議に入るわけではないですが、出した記事の効果を数字で見て「こういう結果が出たので、次はこう変えましょう」と話したりします。珍しいかもしれないですけど、メディアを運営するうえで必要なタレントが揃っている感はあるかなと(笑)。

 

河合:以前、『【2019年版】税務署以外も! 東京都内「確定申告の相談窓口」まとめ』という記事を作ろうとした際、窓口一覧を縦に並べたら長くなって見づらかったんです。そこで阪口さんに相談したら、横にスライドすることで一覧が見られるように実装してくれました。このようなちょっとした困りごとをすぐに相談できて、エンジニアの視点でその問題を解決してくれるのは、阪口さんが同じチームにいないと絶対にあり得ないんです!

 

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阪口:ありがとうございます(笑)。チームに関しては、今はマーケエンジニアをもうひとり採用したいですね。ただ、マーケティングとエンジニアリングの2つのスキルを持った人にはなかなか出会えません。なので、どちらかのスキルを持っていて、かつもう一方にも興味があるような人を採用して育てる、という方針でやろうと思っています。

 

最適なスキルを持った人材を見つけるのが難しい場合は、育成も視野に入れながらチームを作っていく。こうした柔軟さがBizpediaの専門特化型チームづくりの鍵なのではないでしょうか。

 

最後に、おふたりに今後Bizpediaでやりたいことをお訊きしました。

 

阪口:私はサービス送客部分を担っているので、そこの数字を伸ばしたいですね。ただ、ユーザーによりファンになってもらう、気に入ってもらえるコンテンツとの両立は難しいと思います。そこを壊さないように、いろんな送客手段を慎重に試していきたいです。あとは、安定した流入を見込む集客として、たとえばSNSからの集客を柱のひとつとして立てていければと思っています。

 

河合:私たちが掲げているのは「User Focus」という言葉です。これを大事にしながら、既存記事の情報のアップデートや、より見やすいサイトレイアウトづくりをしていきたいですね。メディア名に「ペディア」という言葉も付いていますので、プレッシャーを感じつつも、「全部知っている博士」のようなメディアになれたらと思います。

 

●Interview & Text : 弥富 文次

●Photos : 多田 圭佑

 

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