NECのオウンドメディア「wisdom」が行う、事業部を巻き込んだ企画づくりとは

NECが運営する「BUSINESS LEADERS SQUARE wisdom」(以下、wisdomと略す)は、国内外の最先端のビジネストレンドやテクノロジーの情報を発信する、ビジネスリーダーのためのオウンドメディアです。中心になってメディアの企画・運営を行うのは、IMC本部 メディア・デジタルマーケティンググループ マネージャーの萬代由起子(まんだい・ゆきこ)さん、主任の染矢晴美(そめや・はるみ)さん、櫻井眞帆(さくらい・まほ)さんの3名。コンテンツマーケティングの黎明期からBtoBオウンドメディアに取り組んできたwisdomの戦略やメディア運営手法、今後の目指す姿について、3名にお話しを訊きました。

 

wisdom立ち上げの背景と戦略とは

萬代由起子さん(以下、萬代):NECがwisdomを立ち上げたのは、まだコンテンツマーケティングという言葉すら世の中になかった2004年です。当初はNEC色を一切出さずに、NECのことに興味がない、もしくはちょっと苦手というような人ですら、先入観なしに普通のメディアとして見てもらえるようにという意図で運営していました。

 

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IMC本部 メディア・デジタルマーケティンググループ マネージャーの萬代さん

萬代:その後、2016年のリニューアルのタイミングで現在のwisdomの形になりました。現在ではNECが提供する、顔認証などの生体認証技術やAI・IoTなどの先端技術を活用した社会価値創造のためのソリューション紹介も行っています。その理由としては、デジタルマーケティング起点で商材を売りにつなげることができる環境が整ってきたからです。

 

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「あなたのビジネス思考に、ひらめきを」

wisdomはビジネスパーソンの問題意識を刺激するビジネスポータルサイト

萬代:wisdomは単なるオウンドメディアというよりは、デジタルマーケティングのツールとして位置づけて運営しています。豊富なコンテンツを取り揃えているwisdomをベースに、いくつかのマーケティングツールを活用し、コンテンツの出し分けやスコアリングなどを行い、インサイドセールスとも連携して商談化につなげていく。このデジタルマーケティングの一連の流れにwisdomを活用するというマインドで運営しています。

 

社内を巻き込みコンテンツの企画立案を行う

萬代:wisdomの記事には主に2つの種類があります。NEC色を前面には出さないビジネスコラム記事と、NECの取り組みを紹介する記事の2パターンですね。このうち、前者の例としては「次世代中国 一歩先の大市場を読む」という連載記事があります。リニューアル前からのキラーコンテンツで、たくさんの固定ファンがついていますが、モバイルから来訪する新規ユーザーも多いです。

 

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萬代:まずはこの連載記事のような、wisdomの当初からの強みであったビジネスパーソンの興味・関心に沿ったコンテンツで集客します。そしてサイトを回遊してもらう中で、例えば『デジタルで実現する 安全・安心で持続的な社会インフラのメンテナンス』といったNECの取り組みを紹介する記事に触れてもらい、NECのことも知ってもらえればと考えています。

コンテンツは月平均で10本ほどを常に更新しており、そのどれもが読み応え十分の記事となっています。オウンドメディアで最も工数のかかるコンテンツの制作はどのように行っているのでしょうか。

染矢晴美さん(以下、染矢):wisdomの中心的なチームメンバーは3,4名です。ただ、NECの取り組み紹介の記事はテーマ別のプロモーション担当者や掲載希望の事業部が企画を挙げてくれる形になっているんです。

 

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IMC本部 メディア・デジタルマーケティンググループ 主任の染矢さん

 

櫻井眞帆さん(以下、櫻井):各部署の中に例えば流通系、自治体系のようにマーケット担当者やAI、セキュリティといったテーマ担当者がいます。各プロモーションの中で制作するNEC系記事の企画はその担当者が作って記事にするという形で、トータルの管理は私たちがする、というような体制になっています。

 

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IMC本部 メディア・デジタルマーケティンググループの櫻井さん

通常では、オウンドメディアのメイン担当者だけが記事制作に携わるのが一般的。そのため工数が足りず、メディアを成り立たせるために必要なコンテンツの本数が足りなくなることも多いでしょう。社内の事業部の方々を巻き込めているのは、やはりwisdomの社内的認知度が高いからなのでしょうか。

萬代:プロモーション関係者からの認知度は高いですが、営業やSEなど、プロモーションから遠いような人はwisdomを知らないことが多いですね。例えば櫻井はこの4月に異動で来たのですが、その前は営業でした。やっぱり営業時代はwisdomのことはあまり知らなかったようです(笑)。ただ、プロモーション関係者はwisdomがタッチポイントの重要なひとつと考えているので、Webでの情報発信=wisdomのような位置づけだと理解してくれています。

櫻井:こういう形で、自分たちが作りたいものを作るというわけではなくて、事業部に話を聞いたり、営業にお客様のことを聞いたりして、連携を密にして取り組んでいますね。

萬代:ただ関係者が多いので、月によってはNEC色の強いコンテンツが多くなってしまうこともあります。このあたりのガバナンスを効かせることは重要だと思っていますね。

 

集客ではリアルイベントに可能性を

オウンドメディアでの一番の課題は、コンテンツを載せるだけで読者が集まってくるわけではないことでしょう。集客についてwisdomではどのように取り組んでいるのでしょうか。

萬代:やはりwisdomに載せているだけだとまだまだ見られていないと思っています。そこで流入施策の一つとしてNewspicksを活用していますが、広告と連動させると一気に大きな反響になります。また、先ほどの次世代中国の記事は、中国の時事ネタでバズりやすい記事です。去年著名な方がTwitterで取り上げてくれて、すごく拡散されたというのもありました。本当はすべてがそうなればいいのですが、なかなか難しいですね。

 

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また、集客チャネルとしてリアルイベントにも可能性を見出しているそうです。

萬代:特に参加型のワークショップは、通常のセミナー形式のイベント以上にターゲットであるビジネスリーダー層が集まりやすいです。限られた2,30人くらいの人数で行うので、主体的な参加意識がある人しか参加しないので。例えば最近、SDGs(持続可能な開発目標)をテーマとした新規ビジネスを考えるという、レゴ®ブロックを使った実践型ワークショップを開催しました。

 

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萬代:こういったワークショップを通じてwisdomの存在を知ってもらうことができます。また、同じようなビジネス思考を持っている参加者同士のネットワークもでき、そこから新しいビジネスが生まれる可能性もあります。wisdomのコンセプトである『新しいビジネスのヒントが生まれる場』を、リアルにも広げていくことができるんです。

最後に3名に、これからのwisdomがやりたいこと、目指したいことをお訊きしました。

櫻井:私は現場の営業のメンバーに、wisdomが営業に使えるツールであると認識してもらいたいです。「wisdomのコンテンツを見たから、◯◯を考えるきっかけになった」とお客様に思ってもらえる機会が増えれば、営業ツールとして役に立つと思ってもらえるはずです。そしてwisdom起点で新しいビジネスをお客様と作っていきたいですね。

染矢:データ活用も進めたいと思っています。「このコンテンツを見た人には、このバナーを当てる」といった形でのデータドリブンの広告配信や、「こういうコンテンツが人気だから、次はこういうコンテンツを作る」という形でPDCAを回していきたいです。また、データを見ることで細かいサイト改善も行っていきたいですね。

萬代:そのひとつは「アノニマス(匿名)データ」の活用ですね。wisdomを訪問したユーザーの行動をCookieベースで取得し、分析結果をコンテンツ制作や広告施策に反映させる取り組みです。これらの構想も含めて、wisdomはまだまだ理想の50%くらいにしか満たないです。デジタルマーケティングのベースがやっとできてきたところなので、集客の課題も含めて、NECが目指す社会価値創造の実現にむけたデジタルマーケティングを、wisdom起点で進めていきたいですね。
 

●Interview & Text : 弥富 文次

●Photos : 多田 圭佑

 

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