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ポーラの事例にみる ライセンスドコンテンツを活用したオウンドメディアの成長戦略 <前編>

消費者が自ら情報を探して商品を購入するいまの時代、企業が伝えたいメッセージは届きづらくなっています。そこで、ターゲット層の興味軸に沿って価値のある情報を提供し、ターゲット層と企業の関係性を段階的に深めていく、コンテンツマーケティングが注目されてきました。

その代表的な施策であるオウンドメディアには現在多くの企業が取り組んでいます。しかし、オウンドメディアを立ち上げ、継続し、効果を出すまでに至る道のりは険しい現状もあるでしょう。株式会社ポーラでオウンドメディア「MIRAIBI」(ミライビ)を担当する、宣伝部 コミュニケーション企画チームの田中愛美氏を取材しました。

「MIRAIBIの立ち上げには苦労しました。そのあとだんだんと育ってくるまでにも、やはり労力が必要でしたね」

 

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株式会社ポーラ 宣伝部 コミュニケーション企画チームで

MIRAIBIを担当する田中愛美氏

課題のひとつには、制作できるコンテンツ量の限界が挙げられるでしょう。多くの企業の場合、オウンドメディアに携わる担当者は数人のみ。そのうちの何人かは通常業務も抱えながらの兼務となり、主担当はひとりだけといった状況も当たり前です。こうした環境ではコンテンツがメディア拡大に必要な本数に満たず、結果が出ずに閉鎖に追い込まれることもよく耳にします。

「MIRAIBIの課題の一つに量の確保があった」と語る田中氏。そこで、田中氏はライセンスドコンテンツに魅力を感じ「NewsCred」(ニュースクレド)の導入を決めたと言います。NewsCredは、メディアの戦略設計から、コンテンツの企画・制作・配信・分析を、費用対効果も含めて一括管理できる「統合型コンテンツマーケティング・プラットフォーム」。その機能のひとつであるライセンスドコンテンツは、国内外の5,000以上の主要な出版社が制作したライセンスクリアなコンテンツを、オウンドメディアに利活用できるサービスです。

2019年1月にNewsCredを導入してから4ヶ月が経ったいま、確かな手応えを感じていると語る田中氏。MIRAIBIが抱えていた課題に対して、NewsCredはどのようにアプローチしたのでしょうか。MIRAIBIのNewsCred導入・運用アドバイザリーを行ってきた株式会社アマナデザイン・寺西葉月が、MIRAIBIのこれまでの歩みと今後の目標を伺いました。

 

潜在的な「美裕層」はストレートなPRでは振り向いてくれない

寺西葉月(以下、寺西):ここ数年多くの企業が、マスメディアを中心としたプッシュ型・一方通行のコミュニケーションから、コンテンツマーケティングのようなプル型のコミュニケーションを重視していますよね。ポーラブランドには既に多くのファンがいて、ブランド力の高い化粧品メーカーとして今もなお多くのヒット商品を世に生み出していると思います。こうした状況の中で、MIRAIBIによるコンテンツマーケティングを始めたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。

 

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株式会社アマナデザイン コンテンツマーケティングアドバイザー(CMAS)の寺西葉月

田中愛美氏(以下、田中):ポーラでもこれまで多くのプロダクトコミュニケーションをしてきましたが、潜在層の方々には響きづらいという課題がありました。まず、ポーラではターゲットを「美裕層」と定義しています。美意識が高く、美しくあることに積極的な女性たちをイメージしているのですが、実は美裕層の中でもポーラを使いたいと思っていない方が一定数います。こうした方々は、従来の化粧品の機能やブランド力をストレートに訴求するだけでは振り向いてくれないのではないかと考えています。

寺西:なぜ潜在層の方々にはストレートなコミュニケーションが届きづらかったのでしょうか。

田中:限られた時間やお金を投資する先として、美容よりも優先度が高いものがあるからと考えています。彼女たちは美裕層ではあるのですが、自分を磨くためのもの、自分に対してリターンがあるものの価値観は人それぞれだと思います。例えばスポーツや旅行といった化粧品以外のものを優先する方もいるでしょう。だから『美容っていいよ』とストレートに言っても響かないのです。

 

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MIRAIBIは「現代を生きるすべての女性に気づきを提供するメディア」。

「情報価値を吟味してコンテンツを選ぶミレニアル世代の価値観にマッチしたメディアを意識している」と田中氏。

寺西:ひとくちに「美裕層」と言っても「こういう人たち」と断定できない、多様化した時代性が垣間見えますね。そこでなぜ、コンテンツマーケティングという手法にたどり着いたのでしょうか?

田中:プロダクト中心のPRが届きづらい中で、そうではなく読者にとって興味のある文脈で発信する、というのがコンテンツマーケティングだと思っています。自分の成長において、数ある投資先の中に「美容」という選択肢を持ってもらうため、まずは彼女たちの興味がありそうな文脈のコンテンツでMIRAIBIを訪れてもらう。そしてサイトを回遊する中で美容系のコンテンツにも触れてもらい、『美容っていいな』と思ってもらう。それがMIRAIBIでやりたいことです。

 

たったひとりのコンテンツ制作では「量の担保ができない」

寺西:初めて田中さんとお話ししたときに、運営する中での課題があるとお聞きしていました。

田中:はい、当初、課題に感じていたのはコンテンツ量の担保でした。読者の信頼を獲得して、今後もMIRAIBIを訪れたいと思われるためには、良質なコンテンツを更新し続けないといけません。しかし、コンテンツ量を確保する体制が整っていなかったのです。また、ゼロからコンテンツを作ることに時間を割かれ、サイト全体やコンテンツのパフォーマンスを分析してPDCAを回すことができていなかった。その2つが大きな課題でした。

寺西:コンテンツを作り続けることに必死になってしまい、サイトを改善するための時間を確保できない状況は、多くの企業に共通する課題ですね。当初、MIRAIBIの運営は田中さんの他にもメンバーがいらっしゃったのでしょうか?

田中:立ち上げ当初はひとりで運営していました。システム制作をサポートしてくれるメンバーはいたのですが、コンテンツ制作に関しては他に人がおらず…。そのためコンテンツはメディア公開時が8本で、毎月4〜5本を更新する形でした。ただこの量ではすぐに全部を読み終わってしまい、読者が定着しません。

寺西:コンテンツはどのようなフローで制作していたのでしょうか。

田中:MIRAIBIのコンテンツは大きく分けて、ライフスタイル情報と、ポーラの商品・サービスに紐づくものの2種類があります。ライフスタイル情報は、例えば映画やアートの展覧会情報といった、潜在層の方が興味を持っているのではないかと考えられるテーマを連載形式で発信するものです。そのフローはまず、世間で関心の高いテーマの企画を制作パートナーの会社さんにご提案いただき、ディスカッションして決定する。その後制作していただいた原稿をチェックし、定期的に更新していく。だからそこまで重くはないんですね。

 

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田中:一方、ポーラの商品に紐づくコンテンツはマーケティングにおける核という位置づけで、月1本くらいのペースで公開しています。これに関しては内製の度合いが強いコンテンツです。企画を作る上では、違和感なくポーラの情報にたどり着いてもらうためにはどうするのか、浅く語るのか深く語るのか、切り口はどうするのか、といったことを考えます。その打ち合わせとして月に1回編集会議を行う。そして、企画が決まるとライターさんへのオリエン、社内調整、取材・撮影、原稿の校正をして公開するという流れです。商品に紐づく記事はけっこうな時間がかかります。

寺西:映画やアートを検索する中でMIRAIBIに訪れたユーザーが、いかに違和感なくポーラの商品情報に触れ、ブランドのファンになっていただけるか。まさにコンテンツマーケティングの戦略設計の肝ですね。当初、ブランドの中でコンテンツを企画していくべき、と考えていたのでしょうか?

田中:基本的にはそうですね。だから、量に関してはこれが限界とも思っていました。月に4〜5本を公開するということは、週に1、2回更新しないといけない。コンテンツは多ければ多いほどいいのだろうとは思っていましたが、それ以上増やすことは現実的に不可能だったんです。そのタイミングでNewsCredのご提案をいただいて。『それは海に砂を投げているようなものですよ』と。

 

―<後編>に続く

 

●Interview & Text : 弥富 文次

●Photos : 多田 圭佑

 

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